The previous night of the world revolution~T.D.~
というのも、きっかけはその日の議題。

上級生のメンバーが出した、

「『天の光教』事件について、帝国騎士団はどう対応すべきだったか」というもの。

その日は、そんな下らない議題で話し合いをしていた。

俺にとっては、めちゃくちゃどうでも良い。

あんな年齢サバ読みおばさん、一刻も早く記憶の中から消したいくらいだ。

頭縦ロールおばさんと一緒にな。

良いか、何度も言ってるがな。

俺は、熟女は好みではないのだ。

そんな訳で俺は、内心イライラしながら話し合いに参加していた訳だが…。

議題がこれに決まったときから、そうなるだろうと予測していた通り。

と言うか、このサークルに入ったときからずっと感じていた通り。

本日の話し合いも、大層つまらないものだった。

「あの『天の光教』事件は、帝国騎士団による暴政の象徴だ」

という、超下らない意見から始まった。

暴政ってお前。

暴れてたのは、主に向こうだぞ。

「ただの宗教団体なのに、自分達に都合の悪いことを言ってるという理由だけで、無理矢理潰したんだものね」

「全く、あの手段と来たら、横暴としか言いようがありません」

だから、暴れてたのは向こうだっての。

すると。

「しかし、彼らは…『天の光教』はデモ行為を行っていました。それを鎮圧するのは、帝国騎士団の役目なのでは?」

すかさず、ルーシッドが反対意見を口にした。

まぁ、ルーシッドからしてみれば。

あのデモ行為で、関係のない一般人に被害が出るのを食い止める為に、苦渋の決断で『天の光教』を止めたのに。

それを批判されたら、そりゃあ思うところはあるだろう。

俺達頑張ったのに!みたいな。

つーか、お前は今も頑張ってると思うぞ。誰も認めてくれてないけど。

「鎮圧って…。デモ行為は罪ではないですよ。自分達の意見を主張する、正当な手段です」

『frontier』のライブ会場に、包丁とプラカード持って立てこもるのが「正当な手段」だって?

冗談じゃねぇよ馬鹿。

あの件で、どれだけ迷惑かけられたと思ってんだ。

「だから、最初は帝国騎士団も見過ごしていたじゃないですか。でも、段々とデモが大きくなって…。民間人を巻き込みかねない事態になったから」

「それを口実に、『天の光教』を弾圧し始めたんだよな」

「口実だなんて…。帝国騎士団は、事前に警告していたじゃないですか。これ以上過激なデモを行うなら、粛清することになる、って」

「そうだったっけ?」

「そんなことしてた?」

してたよ。会見で。

全然覚えられてない。帝国騎士団可哀想。

こいつら、ルティス帝国総合大学の学生の癖に、世の中知らな過ぎだろ。

お勉強は出来ても、世の中の情勢については全く無頓着なんだな。

これだから、お勉強しかしてこなかった世間知らずのお坊ちゃんは。

「警告したにも関わらず、過激なデモを繰り返したのは『天の光教』じゃないですか」

「過激って言っても…。『天の光教』のデモって、帝都の美術館や、貴族御用達の高級ブランド店を占拠するとか、その程度だろ?」

あと、そこに『frontier』のライブ会場も加えといてくれ。

つーか、公共の施設や商業施設を占拠することを、「その程度」とは。

経営者からしたら、生活がかかってるんだぞ。分かってんのか?

分かってないんだろうなぁ。

自分に関係のないことなら、誰が何処でどう苦しもうが、どうでも良いと思う生き物なんだから。人間は。
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