The previous night of the world revolution~T.D.~
「…何ですか」

「え、あ、いえ…」

「失礼じゃないですか。俺がちょっと微笑んだだけで、そんな怪物でも見るかのような目をして」

「あ、あれが『ちょっと微笑んだだけ』…?」

は?

「…何か?」

「い…いえ、何でも…。ちょっとあの…フェロモンが強烈だったもので…」

何かボソボソ言ってるが、何て言ってるのか聞こえない。

きっと褒め言葉だろう。

俺と来たら、褒める要素しかないからな。

で、今何で微笑んだのかって?

そりゃ決まってる。

異国で、俺の可愛い弟子と、可愛い元弟子が、「仲良くお稽古」しているような気がしたからだ。

いやぁ、仲が良いって素晴らしい。

友情は良いものだ。

恋愛は、もっと良いものだ。

命短し恋せよ男子。

で、それはそれで良いとして。

「ぼやぼやされてちゃ困りますよ。今日が何の日か、ちゃんと分かってるんでしょうね?」

「…!は、はい…それは、もう」

今日は土曜日。大学の講義はお休みだ。

しかし、俺とルーシッドは、出掛ける予定が入っている。

何を隠そう、サークル活動の一環だ。
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