The previous night of the world revolution6~T.D.~
シェルドニア王国までは、長いフライトである。

遠いからな。

その為、機内で一夜を明かすことになる。

チラリ、と横を見る。

あれだけ騒いでいたアリューシャが、今は静かだ。

何故かと言うと、寝ているからだ。

乗客に配られた毛布をもらって、それにくるまって、すぴーと寝ている。

こいつは…本当に、何処ででも寝るよな…。

本人曰く、子供の頃から、貧民街のゴミ捨て場の横で寝てたんだから、今更寝る場所にはこだわらないのだとか。

妙に説得力があるので、何も返す言葉がなかった。

それを言うなら、俺も大概、何処ででも寝られる部類に入るのだろうが…。

…今日は、さすがに別だな。

考えることが、たくさんあるからだ。

…ルレイア、今頃どうしてるかな、とか。

まぁ、これは飛行機の中に限らず、あいつが潜入任務を始めてから、毎秒ずーっと考えてたことだ。

信じてない訳じゃないけど、それでもやっぱり心配だよ。

そして、相棒がいなくて心配なのは、俺だけではないようで。

アリューシャも、さっきまで大変だったんだぞ。

まず、夕飯として配られた機内食。

あれに、「野菜入ってる〜!食えねぇ〜!」と大騒ぎ。

またしても恥をかいた挙げ句、食べ物を無駄にするのが勿体ないので、アリューシャの分まで野菜を食べさせられ。

何だか、ベジタリアンになった気分になった後。

食事が終わったかと思えば、今度はホームシックが襲ってきたのか。

「アイ公がいねぇよ〜…。ぽへー」と、例によってアイズ欠乏症の症状を見せ始めたので。

事前に用意していたスマホの写真を出して、アイズならここにいるぞ、と見せてやったり。

子守の為に、アイズお手製の絵本や紙芝居を読んでやり。

アイズが選んだ、アリューシャお気に入りのお菓子を食べさせてやったり。

手を変え品を変え、色々尽くしてやった結果。

何だか納得したらしく、こうしてすぴーと眠り始めた。

保育士になった気分だよ。俺は。

しかも、その様子を見ていた添乗員さんに、何だか微笑ましいみたいな顔されたし。

他の乗客は、相変わらず失笑だし。

大恥かいたよ。

そして、ついさっきのこと。

やっぱり、相棒が心配なのは、俺やアリューシャだけではないようで。

アイズから、スマホにメールが届いた。

『アリューシャ大丈夫?もう寝てる?』と。

相棒兼保護者として、子供が心配らしい。

俺は、初日にしてもうめちゃくちゃ恥かかされたよ、とか、早くもホームシックになり始めてるようだ、とか、色々言うことが浮かんできたのだが。

それによって、アイズに余計な心配をかけたくなかった。

どんなに心配しても、今アイズには、アリューシャを助けに来る術はないのだから。

なら、せめて余計な心配はさせたくない。

だから、

『大丈夫だよ。もう寝てるから、安心してくれ』と返信して。

ついでに、間抜け顔晒して眠っているアリューシャの写真も添付して、送っておいた。

それでアイズも安心したらしく、安堵した旨の返事が返ってきた。

全く、お互い相棒には苦労させられてるな。

それでも離れられないから、相棒と言うのだろうけど。
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