秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
私はふらふらとその足で結城クリニックへ向かった。

ちょうど午前の診療が終わる間際についた。
採血結果をきき、私からは妊娠6週だと診断を受けた話をした。

「そう。妊娠していたのね。赤ちゃんがここにいるよって知らせたくて杉原さんの体調くずしたのね。」

「……赤ちゃんが?」

「そうね。気がついてって言われたんだと思うわ。」

うぇーん…
また私はお姉さんの前で泣いてしまった。
お姉さんは私の背中をさすりながら声をかけてくれる。

「相手には?」

「言えない。でも…私の力で幸せにしてあげられるか心配なんです。堕したいとは思えないんです。けど幸せにする自信もないんです。どうしよう。自分がこんなに弱いと思わなかった。」

「悩んだらいいのよ。今すぐ決めなきゃならないことじゃないの。それに悩まない人なんていないわ。できれば相手に相談すべきだわ。」

「分かってはいるんです。でも心が追いつかないんです。」

「そうね。やっぱりそういう時は寝るのが1番。時間が解決してくれるわ。心は意外と強いのよ。少しするとまた違った見え方がするものよ。」

「はい。」

「赤ちゃんを幸せにしてあげられるか心配って思える時点で杉原さんはちゃんと考えてあげられてるってことよ。」

「…。お姉さん。ありがとうございます。ちゃんと考えます。昨日から本当にありがとうございます。今日は手ぶらで来てしまいましたがまた改めて来させてください。」

「手ぶらでいいからまた遊びに来てちょうだい。」

私は深々と頭を下げ、診察室を後にした。
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