秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
ピンポン

1時間もしないうちに千佳が来てくれた。
旦那さんが送ってきてくれ、そのままともくん連れて遊びに行ったらしい。

「真帆。どうしたのよ。びっくりしたよ。」

「うん…。千佳。私、赤ちゃんできた。」

「え?!」

「でもね…。土曜に花火に行こうと待ち合わせしてたのに来なくて、それに電話しても繋がらなかったの。やっと繋がったと思ったら…仕事だからごめんって。後ろから名前を呼び捨てにしてる女の人の声が聞こえたの。しかも甘い声で早く来てって…。これってどう思えばいいの?」

私は一気に言い切ると嗚咽が漏れるほどに泣いてしまった。

千佳は私の背中をさすりながら、大丈夫だよ、大丈夫だよ、と何度も声をかけてくれる。

「ねぇ、真帆は彼に確かめたの?」

「聞いたよ。そしたら仕事だったって言うの。女の人の声がしたっていっても何いってるのかわからないってとぼけてた。私、ちゃんと聞いてたよ。あの声が耳から離れないくらいに聞こえてた。」

「そっか。」

「うん。赤ちゃん…どうしよう。どうしたらいい?」

「今どのくらい?」

「6週って何日か前に言われた。」

「そう。真帆は産みたいの?無理なの?」

「わからない。わからないよ…。」

「うん。」

「赤ちゃんを幸せにしてあげる自信なんてない。でも堕すなんて考えられない。」

「うん。私もだったよ。私も彼に捨てられたと思ってた。けど私は昌也の子だから欲しかったの。昌也がいなくても産みたいと思えたの。絶対に後悔したくなかった。」

「千佳は強いね。」

「そんなことないよ。たくさん泣いたよ。私だって子供に不自由な生活をさせたくないって思ってた。未婚の母になることに抵抗だってたくさんあった。でも、昌也の子だから諦めたくなかったの。」

「うん。」

「真帆は?」

「今でも雅臣さんのことが好きだよ。でも今彼への信頼が揺らいでるの。いくら信じてと言われてもこのまま信じ続けていく自信がない。私につけてもらった自信は毎回くだけちゃうの。」

< 155 / 182 >

この作品をシェア

pagetop