キミを描きたくて
学校のない夏休みは、とても暇だ。
課題だってすぐに終わってしまうし、外に出ようにも猛暑が襲う。

だから、クーラーの効いたこの部屋は、最高なのだ。

…でも、ちょっとだけ、退屈。


そんなことを考えていると、スマホが鳴る。
スマホを開くと、美桜ちゃんからだった。


美桜《生きてる?》


心は、死んでるかも。
そう返したい。

でも大した事情を告げていない美桜ちゃんには、私の事なんて話せないし、話したくない。


依茉《生きてるよ》

美桜《よかった、暑さで死んでるかと》
《花火、見に行かない?》


ああ、花火…

カレンダーを見る。花火は確か、今週末。
…紫月くんと、みるんだっけ。


依茉《ごめん。会長と見るって言っちゃった》

美桜《了解!たのしんで!》


OK!と書かれた可愛いキャラのスタンプ。
美桜ちゃんにも、会いたいな…

とにかく、誰かに会って、この心の痛みをなかったことにしたい。

そう思うも、体は動かず、ソファーに横になる。
ご飯だって、食べる気は出ない。


「私、今までどうやって生きてたっけ…」


ポツリとこぼす。
誰も、その答えは教えてくれない。
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