キミを描きたくて
そうだ、ずっとそうだ。
5年も1人で生きてきたじゃないか。

小学4年生から、ずっと…
ずっと、この檻の中で。


「…元に戻るだけ、だよね」


私は樹のたった一人の妹で、樹はたった一人の兄。
そこにはなにもない。
元通りの、小学生の頃みたいな、そんな関係に戻るだけ。


「そう、そうだよ。ずっと戻ってきてって願ってたのは私じゃん」

「何を今更、気まずく思ってるの」

「気まずいのは、嘘をつかれてずっと消えたことにされてたお兄ちゃんだよ」


自分に言い聞かせる。
喜ぼう。喜ぶべきなんだ。

神様が、やっと私の願いを聞いてくれたんだ。
やっと、お兄ちゃんに会うことを認めてくれたんだ。

そう、そう思えばいいんだ。


「紫月くんも、お兄ちゃんが帰ってきたら絡まなくなるかな…?」


そうなれば、いつも通りの平和の日々に戻る。
入学してから3ヶ月が、異常に重すぎたんだ。

中学だって、普通だったじゃないか。

ずっと、今みたいに絵を描いて、たまに宿題するだけ。それだけだった。

大丈夫。
不安に思うことなんて、何も無い。

紫月くんと美桜ちゃんに話せなくたって、隼人くんだけは、味方だから。
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