キミを描きたくて
「寂しい時は絵に描いてキャンバスに擦り付ける。僕は、そのやり方を知らないから羨ましい」

「羨ましい…?」

「そう、羨ましい。その溢れる才能さえ僕にもあれば、どんな依茉ちゃんも描くことができるから」


気持ち悪いね僕、なんて笑いながらケーキを食べる彼は、どこも気持ち悪くなんてなかった。

むしろ、その励ましが、今の私にはとてもあっていた。

彼は、とても私には眩しく見える。


「隼人くんは、とても優しいから。…時々、私が本当にその優しさを受けていいのか、不安になる」

「優しくなんてないよ。…僕は、ずるくて悪い男だよ」


だって、と言いかけながら、私にグッと近づき、鼻と鼻がくっついてしまいそうな程の距離になる。


「こうやって、いつでも依茉ちゃんをあの男から奪えるんだから、僕は優しくなんてない」

「ううん、優しいよ」

「どうして?」

「きっと隼人くんは、そんなことしないから」


私の嫌がることはしない。
今まで、彼は私の嫌がることをした事がなかった。

ある程度私の嫌がることをちゃんと把握していて、距離感を保って、優しくしてくれる。


「隼人くんは、いつまでも優しくて、こんな汚い私を救おうとしてくれるから」
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