キミを描きたくて
どうしてどうしてどうしてどうして。

どうして、俺との約束を断った?


何回も電話をかける。
何回もメッセージを送る。

でもこの無能な機械は、俺と依茉を繋いでくれはしない。


「クソが…」


ため息が出る。
ハヤトクン、が良くなったのか?

…逃がしなんてしない。
どこまでも追い続けてやる。

マンションだ、家に行こう。

さすがに家に行ったら観念して出てくるはずだ。
…思うより、単純な理由かもしれないし。

帰省だとかだって、あるはずだ。


「依茉…」


その名前を呼ぶ度、心が跳ね上がる。
早く会いたい。

早く、理由を聞きたい。

俺を納得させられる理由を。


「おかけになった電話番号は…___」


電源を切っているのか、充電切れなのか。
繋がりすらしない。

早足で依茉の家へ向かう。

オートロックの番号は一度で覚えたし、9階の角部屋だからわかりやすい場所だ。

ピッ、ピッと番号を押して入る。
エレベーターで上がってドアに手をかけると、不用心に鍵が空いていた。


「…依茉?」


靴がない。
出かけているのか?


そう思って寝室やリビング、兄の部屋など色々見て回るも、いない。

どうやら出かけているらしい。


…いつまでも待ってやる。
いつまでも待って、あの小さな口から、理由を話してもらわなければならない。
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