キミを描きたくて
今日はきっと絵に関してしか頭は働かないな、なんて思いながら辺りをキョロキョロ見渡して歩く。


「あ、いちご飴あるよ。好き?」

「うん、好き、かな」

「俺も好きなんだ、買おうか」


買ってあげるよ、と言って出すのは彼の財布。
いつも誰かに出してもらってばかりだ。

私がだすのはせいぜいアトリエでのコーヒー代とアトリエ代くらいだ。
でもそれすらも父親からの仕送りで賄っていて、結局自分ひとりじゃ何も出来ないと痛感する。

世の子はみんな夏休みでバイトに勤しんでいる中、私は絵ばかりみている。

勉強も、バイトもせず、絵ばっかり。

でもそれが幸せでたまらないのは、きっと私の中に絵というものが限りなく強い存在であるから。


「あ、いちご飴ふたつください」

「はいよ、1000円ね。まいどあり」

「ありがとうございます。…依茉ちゃん?」


この隼人くんの横顔さえも私は絵にしてしまいたい。
頭の中のシャッターをおろして、忘れないように目に焼きつける。


「ちょっと、絵のこと考えてた」

「依茉ちゃんらしいね」


あっちのベンチ空いてるよ、なんていって2人並んで座り、いちご飴を食べる。

どこもかしこも人だらけで、カップルだらけ。

そんな時、私のスマホが震えた。
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