キミを描きたくて
そう言うと、ちょっと嬉しそうにそっか、なんて声が高鳴る。

彼の私への思いは、少しでしかないが、知っている。


「僕、依茉ちゃんをいつか描いてみたい」

「…私を、ですか」

「聞いてくれる?僕の話。ほら、相談があるって言ったでしょ」


信号待ち。ポツリ、ポツリと話し出す。
それは、私が聞くには重すぎる話。

信号が青になる。

彼は少しだけスピードを出しながら話してくれる。
私は隼人くんに話を聞いてもらってばっかりで、まったくと言っていいほど、彼の話は聞いたことがない。


年は3つ上の19歳、精神科医を志して医学部に通い、夜はアトリエカフェで働く。
…家族構成も、どんな生い立ちかも、私は全く知らない。

ううん、知りたいと聞いたこともなかった。
話を聞いてくれる優しい人って認識しか、なかった。

それでも彼は私を好いていてくれる。

話をしてばかりで、自分の話なんか聞いてくれない私に、彼は愛を抱いてくれている。

…お金じゃ買えないものを、彼はずっと、私に与えようと、必死に。





「僕ね、依茉ちゃんのこと、殺してしまいたいほどに好きだよ」
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