【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉


「俺は透子、君みたいな女性がタイプなんだ」

 ハイボールの入ったグラスを片手にそう語る彼は、わたしをジッと見つめていた。

「……あなたが言うと、ただの女好きにしか聞こえないんだけど」

 わたしはそう言葉を返してジントニックを一気に飲み干すと、今度は彼と同じものを頼んだ。

「彼と同じものをください」

「かしこまりました」

「で、藤野透子。俺のパートナーになる気は?」

 わたしのことを横目で見ながら、彼はそう問いかけてきた。

「だから言ってるでしょ?あなたのパートナーになる気はない」

 そう言った直後に、わたしの目の前にハイボールが置かれる。

「へぇ?俺は結構、イイ男だと思うけど?」

「言っておくけど、わたしにとってあなたはただのゲス野郎よ?あなた達のことを今でも恨んでる。夕月園を奪ったこと。それなのに公私ともにパートナーですって?……ふざけるのもいい加減にして」

 わたしはそう言い放つと、グラスに入ったハイボールに口を付けた。
 もうこうなったら、とことん飲んで忘れてやるわ……。何かも忘れて、リセットしないとダメかもしれない。こんなの理不尽だわ。
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