【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉


 こうしてどんどん大きくなってきたお腹を抱えて生活するのは大変だ。自分の体とはいえ、思うように動けないし。
 何をやるにものんびりになってきて、いつものように上手く出来ないし。

「透子は大人しく座ってろよ?」

「はいはい」

 藍は案外世話焼きだ。だけどこうしてわたしに優しくしてくれるのも、藍だけだ。
 藍はどんどん、前よりも父親になってきた気がする。自分が父親になるんだという自覚が出てきたから、自分が協力してやらないとという自覚が、出てきたのかもしれない。
 それはいいことだし、赤ちゃんにとってもきっと嬉しいことだと思う。

「良かったね。パパは頑張ってるよ」

 と、お腹の赤ちゃんに話しかけてみる。

「藍、今この子動いたよ」

「マジ?そっか。よく動くようになってきたな、赤ちゃん」

「うん。きっと活発な子になりそうだね」

 なんて思いながらも、我が子が産まれてくるのを誰よりも楽しみにしているのは、きっと藍だ。
 藍にとっては待望の第一子で、初めて父親になるのだから。
 父親になるという不安よりも、産まれてくる楽しみの方が大きいのだと、藍は言っていた。
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