【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈改稿版〉
【6.溺愛結婚の始まり】
「……夕月園の元若女将、藤野透子と申します。この度ご縁があり、藍さんと結婚する運びとなりました。……それと今わたしのお腹の中には、新しい命が宿っています。藍さんとの子供です」
それから数日後、わたしは高城藍の父親である高城明人の元に挨拶に来ていた。
高城明人、正直に言うともうこの人と二度と会うことはないと思っていた。
この人は夕月園を奪って、わたしたちを引き摺り下ろした張本人だ。
まさに憎むべき相手のはずなのに、まさかこの男の息子と結婚することになるとは、夢にも思ってなかっただろう……。
「ほう……。きみとはどこかで会ったような気がしていたが……まさか夕月園の元若女将だったとは、驚いたよ」
そんなわたしの姿を見て、高城明人はそう言ってきた。
「……はい。 あの時以来、ですね。高城社長」
買収された時に初めて会った時、以来だ。
「藍からこの前、結婚したい人がいるから紹介したいと聞いてはいたが……まさかその女性が、君だったとはね……。これは驚いたな」
「……わたしもまさか、あなたとこうして再会することになるとは、思ってもいませんでした」
わたしはそう言って、改めて「藤野透子です。よろしくお願い致します、高城明人さん」と挨拶をした。