【溺愛結婚】懐妊後、御曹司から猛烈に溺愛されています。〈完結〉


「ありがとう。透子さん」

「……あなた、なぜわたしのことをご存じなのですか?」

 わたしはアイスコーヒーにストローを刺し、飲み始めたその男性にそう問いかけた。

「そりゃあ、あれだけキレイな若女将がいれば有名にもなるでしょう」

「……あなた、まさか」

 わたしはその一言で悟った。

「僕は高城藍(あおい)と言います。お見知りおきを」

 高城藍(あおい)。やっぱりこの男は、高城ホールディングスの……。

「高城ホールディングスの御曹司さんが、わたしに何のご用でしょうか」

 わたしは高城というその男性にそう問いかけると、高城藍はわたしにこう言った。

「では単刀直入に言います。あなたをスカウトしに来ました」

「スカウト……?」

 それ、どういう意味……?わたしをスカウト?何言ってるの……?

「あなたの若女将としての活躍は、以前から耳にしていました。ぜひうちでスカウトしたい」

「……お断りします」

 買収された会社からのスカウトなんて、受ける訳がない。絶対にあり得ない。

「なぜ、ですか?」

「答える義務はありません。……それを飲んだら、お帰りください」
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