【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 孤月の誓いとは、生涯夫も子供も持たず女神様に仕えるという誓いだと、大神殿での聖女教育で教わった。
 どういうふうにするのかわからないけれど、国王陛下と閨をともにしても子ができなくなるらしい。教育係の女性神官は先代の聖女様にも子供はいなかったと言っていた。

「孤月の誓いとは何をするのでしょう……」
「わたくしどもは知らされておりません。陛下に直接お聞きになってくださいませ」

 髪に続き、聖女の装いもすべて脱がされて浴室へ連れていかれた。
 数人がかりで体も髪も綺麗に洗われ、丁寧に乾かされる。全身に良い香りのする油を塗りこめられ、リボンや刺繍で飾られた薄手の寝衣を着せられた。

「それでは、わたくしどもはこれで失礼させていただきます」

 侍女達は深々と礼をして双月の間を出ていった。

 とうとう、その時が来た。
 鼓動が激しくなる。
 わたしはなんとか落ち着こうと深く息をした。
 愛しい白銀の狼を思い描く。

「ヴォルフ、わたし、できるわよね。大丈夫、きっとうまく行くわ……」





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