【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 ヴォルフの目が一瞬熱く光って、わたしの体を持ちあげ自分の膝の上にのせた。

「んっ、ヴォルフ、重くない?」
「全然。羽のように軽い」

 朝ごはん代わりに食べられてしまいそうな深い口づけ……。

「ヴォルフ、もうおしまい。まだ、朝よ」
「うん、朝だな……」

 気もそぞろに口づけを続けようとするヴォルフ。

「これ以上は……だめ」
「だめか?」

 キューンと悲しそうにうなだれる狼さんが、人の姿のヴォルフに重なって見える。
 ヴォルフの願いはなんでも叶えてあげたいけど、ちょっと今は無理な気がする……。
 わたしが困っていると、

「わかってる。残念だけど、無理はしない」

 ヴォルフが小さく笑って軽くおでこに口づけた。

「また夜に、な」
「ヴォルフ……っ」

 どんどん頬に血が集まっているのが、わかる。なんだか凄く恥ずかしくて顔を覆ってしまったけど、これだけは言っておかなければ。

「ありがとう。大好き」
「…………!」

 壊れそうなくらい強く抱きしめられた。
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