【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 それにしてもわたし、そんなに深く眠ったつもりはなかったのに、いつお掃除したんだろう。

「ずっと寝ていてごめんね。わたしも何か手伝うわ」
「大丈夫だから、横になってろ」
「でも、もう楽になったから」
「なら、体力温存しとけ。今夜は眠れないかもしれない」

 ヴォルフがちょっと悪い顔でにやりと笑う。

「え、ええ!?」
「冗談だよ。無理はさせないって言っただろ」

 子供にするみたいに頭をガシガシと撫でられた。その仕草と落ち着いた声に、めまいがするほど愛しさを感じる。

「無理……じゃない」

 初めてだけれど、まったく無知なわけじゃない。なまじ知っているからこそ夜に起こるだろうことが想像できて、たまらなく恥ずかしい。
 けれど、それは恥ずかしいだけでいやではない。わたしも望んでいるのだと伝えておきたかった。

「……マリアーナ。自分が言ってること、わかってるのか」
「わかってる……つもり。だけど、その前に湯浴みがしたいな」
「…………」
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