【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 僕が女だったら、こういう男を番にしたいと思うくらい良いやつなのだけど……、男に好かれる男はだいたい女にもてないよな。

「怪我をした時に手当てをしてくれたのが、ふたりの馴れ初めとか……。ということは、私も怪我をすれば良いのでしょうか? でも、この最強の私が怪我をするような隙など、どうやって作れば……」

 頭の良さそうな顔で阿呆なことを考えているこいつは、白虎のティグリス。
 さらさらの白髪にひと筋の黒髪。普段は冷静な美形に見えるけど、戦いになると一番凶暴でおっかない。

「ねぇねぇ、どんな番が良いと思う? 理想の番像は?」

 しけた酒盛りをなんとか盛りあげようと頑張る僕は、金狐のルナール。
 眷属神の中では最年少。女性に声をかける時は可愛い系を意識してたんだけど、ヴォルフがもてるくらいなら路線を変えたほうがいいんだろうか。
 ぶっきらぼうな脳筋……、いや、駄目だ。僕の美意識が許さない。

「……理想、か」
「僕の理想はねぇ……初々しくて、僕だけを愛してくれて、脱いだら凄い、運命の番!」
「筋肉か?」
「違う!! 大胸筋じゃなくて、おっぱい!」

 レオンの天然ボケにすかさず突っこむ。
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