【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「どうしよう。まだ朝だけど、早速湯浴みしちゃう?」
「クン!」

 ヴォルフも賛成だ。
 川縁に手頃な大きさの岩があったので、服と下着を脱いでポイポイと掛けていく。

 その時、「キュイ――――――ン!」と焦ったような鳴き声がして、バシャーンと大きな水音がした。

「ヴォルフ、どうしたのっ……、えっ!?」

 えぇぇぇぇ!?

 ――川の中には。

 男の人がいた。

 ……全裸の。

「だ……だれ!?」

 呆然としてしまって、他に言葉が出てこない。

 色白だけど、たくましい体つき。
 白銀に輝く長い髪が広い背中に流れている。
 彫りの深い顔立ちは女神の恩寵を受けたかのように整っていて、神々しいほどだ。

 その端正な顔の中で、ひときわ印象的な鋭い金色の瞳がこちらを睨みつけた。
 甘く響く低い声がわたしに命じる。

「マリアーナ、前を隠せ。丸見えだっ」
「は? ……はあ!?」

 そっちこそ!
 と怒鳴りたいのだが、口が回らない。

 ああっ。
 そうだ、わたし裸だったんだ!

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