【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 どんな生き物よりも強く美しい聖獣が、女神レクトマリアの高貴なる眷属神が、わたしを求めて震えている……。

「ヴォルフ、大好き」

 愛しさが急にこみあげて、あふれた。
 それは今、突然生まれたのではなく、もともとわたしの中にあったものなのだとわかった。

 わたしは……、わたしは。

 陰気で地味な『蕾のマリアーナ』とか、人々に幸福をもたらす『聖女モーリーン』とか。
 神とか人間とかすらも関係なく。

「あなたを愛してる」

 ささやきは甘く蕩けた。
 生まれて初めて知った想いがうれしくて、この喜びをヴォルフに伝えたかった。

「愛してるの」

 繰り返すわたしを、驚いた顔で凝視するヴォルフ。

「マリアーナ……、それは男としてと思っていいのか?」
「男として?」
「そうだ。俺にこんなことをされてもいいのか?」

 端整な顔が近づいてきて、唇と唇がそうっとふれる。
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