今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~
戻って来た叶に抱えられ、やっと目隠しを外されたと思えばもう一度バスルーム。髪から足の爪先まで丁寧に洗われた。

「いい子だったね、スズ」

口止めもなにもしない。ただそう言って甘くキスを落とす。
 
「ま、上出来だろ」

後から入ってきた時雨も不敵そうに。

「ちゃんと俺を信じたからな。褒めてやる」






 
代わる代わる愛されながら融け堕ちそうな意識の中。叶の愛おしげな囁きを聴いた。

「スズは誰にもあげないよ。躊躇わない、僕から奪うなら・・・」

 


ひとつ解った。・・・気がする。

あたしは(にえ)で蜜。甘い薫りで獲物を引き寄せ、ほんの少し舐めさせてやればいいのだ。夢中になっている間に叶が消す。跡形もなく全てを。 

その為の人形だっていうことを。




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