今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~
「今年のクリスマスだけど、ホームパーティはどうかな」

とある夜。キッチンで洗い物に取りかかったあたしの横に立ち、叶が言う。

「ホームパーティ?」

「時雨と三人で。場所は秘密にしようか」

悪戯っぽい笑みを浮かべて、あたしの反応を愉しんでいそうな。まるであたしの心を見透かしていそうな。
 
「僕と時雨で準備するから任せてくれればいいよ」

どうやらサプライズパーティ。こういうことを考え付くのは時雨?内心でクスリ。

「じゃあ楽しみにしてる」

「終わったらおいで」

「うん」

料理は叶が、掃除は分担で、洗い物や洗濯はあたしの受け持ち。奥さんを亡くす前はほとんどしなかったらしい家事も今は手際がいい。多分あたしより。

時雨はどうなんだろう。デリバリーが多そう。なんて言ったら、見た目で判断するなって叱られるかも。

シンクを綺麗に拭きあげてリビングに戻ると、叶はソファでテレビ画面に見入っていた。 
< 63 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop