それはきっと、甘い罠。
「鞍馬秋臣、席替えとはいえ授業中に女子生徒を口説いてんじゃないの。」
いつの間に私達の前に立っていた、担任の山田先生がメガネをギラつかせ丸めた教科書でーーパコッと鞍馬君の頭を叩く。
「あでっ、……先生暴力はんたーい」
「お前はそんなに席替えどころかクラス替えしたいのか?もちろん行き先は隣の空き教室だけど?」
「えっ、俺やっと気になる子と隣になれたのに、そんなのってあんまりじゃないですか先生。
あっ、でも藍野ちゃんと空き教室でふたりきりなら、喜んで行きますけど」
「よし鞍馬、お前はもう転校しろ。男子校に行け」
「冗談ですって。ちょっとだけ」
「……」
「ごめんなさい」