「槙野だったら、何味にする?」
「読書感想文はとっくに終わってる。」

題材にした小説のタイトルを得意げに披露する。

「その小説、そんなに面白いんだな。もう二回目じゃん。」

ベッドの横に折り畳み式の低くて丸いサイドテーブルを出していた。涼太がベッドを背もたれにする感じで座っている。せっせと丸写しされていく僕のドリルを眺めながら。

「自由研究はもっと早く終わってる。理科の、水に沈むやつ。」

「それも二回目。あれ、三回目だっけ。」

「四回目。」

涼太が呆れた顔で僕を見る。本当に呆れた顔かどうかは分からない。僕はドリルと睨めっこしたままだから。でも呆れていることははっきりと分かる。

「それで、他は何やってた。」

涼太は聞いておきながら興味も無さそうな感じで左腕で頬杖をつく姿勢になって、僕の丸写しドリルを眺め続けている。

「お泊まりした。ヤヨちゃんと。二人で。」

僕は涼太を見ないまま、ドリルの丸写しを続けて、何でもないよって調子で言った。
涼太は一瞬、なんにも言わなかったけれど、ゆっくりと頬杖から顔を上げて、ドリルから僕に視線を移した。

「は?」

戸惑っている涼太をチラッと見て、その背後のベッドを見た。涼太もゆっくり振り向いて、それからまた僕に視線を戻して、「へぇ…」と短く言った。
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