千の恋よりも、あなただけ
波乱
夏休みが始まってから、ジローくんと過ごす時間は増えたけれど、高校時代の友人からの誘いがあったので、数日だけ地元へ帰ることに。

ジローくんは、新幹線のホームまでわざわざ見送りに来てくれた。

ほんの数日離れるだけなのに、寂しくて切なくて仕方ない…。

それだけ、もうどうしようもないほど、好きになってしまったのだ。



しかし、波乱は突然だった…。

私は、地元の友人グループの中に、別れた彼がいることに唖然とした。

周りの友達は、私たちが別れたことに納得がいかないとかなんとかで、元サヤにおさめようという作戦で、何も言わず私たちを引き合わせのだ。

別れた彼の顔を見たところで、今さら何のときめきも感じるはずもない。

高校生の頃、あまりハッキリものを言えなかった私だが、これだけはきちんと告げた。

今はもう好きなひとがいて、既に付き合っている。だから決してやり直せないということを。

すると、どういうことだろう。

私は、友人らから、集中攻撃を受けた。

あなたって最低、彼がいなければ友達の一人もできなかったようなネクラのくせに、上京してすぐ他の人に心変わりするなんてクズだね、そんな軽い女とは知らなかった、など、とにかく罵倒の嵐。

別れた彼は知らん顔をしていた。
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