【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
理事長室の秘密


 翌日から、学園内の雰囲気が変わった。
 雰囲気、というよりも、わたしに対する風当たりが変わったというか……。

「アーリア様、今日もお綺麗ですね!」

「おはようございます! 朝から妃殿下にお目にかかれるなんて幸せです」

 男子生徒がみんな、やけにチヤホヤしてくる。
 なに? 一体どうしたのかしら?

 たまにあの待合室のテラスにいた子たちも見かけるけれど、わたしとすれ違うと真っ赤になって熱い瞳で見つめてくるので、ちょっと怖い。
 セドリックに何やら言い含められているようで、手を出してくることはないけれど。

「アーリア、人気者になってしまったね?」

 少し不安そうにわたしをのぞきこむセドリックに、わたしは微笑みかけた。そんな顔をしなくても、わたしの夫はセドリックだけなのに。



 あの日――。

 セドリックがあとで話してくれたことによると、わたしとエドワードの並んだ様子を見て、セドリックは落ちこんでしまったらしい。自分が、わたしにふさわしくない子供に思えて。

 そして、上級生の女の子、あのオレンジ色の髪の少女に慰められたのだそうだ。
 彼女は可憐な見かけのわりに押しの強い娘だったようで、セドリックが内心弱っていると見るや、強引なアプローチをしかけてきた。わたしになりかわろうとして……。



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