【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
 セドリックにエスコートされて、理事長室に着くと、タイミングよくエドワードがやってきた。いや、タイミングがよいかどうかは、微妙かしら。

「妃殿下、おはようございます。まだ早いのですが、本日の理事会の予定を……。おや、セドリック殿下もいらしたのですか」

「ええ。学園長も朝から熱心ですね」

 セドリックとエドワードの視線が合う。セドリックの射るような瞳と、エドワードの余裕綽々な態度。
 な、なんだか、火花が散ってる……?

「あの、エドワード様、わざわざありがとうございます。先日いただいた資料も大変参考になりました」

 エドワードに会釈すると、エドワードも親密な微笑みを浮かべた。

「妃殿下のお役に立てたのなら、よかった。今日も理事会の前に、打ち合わせをしておきましょうか」

「そうですわね。そのほうが安心かしら……」

 以前、エドワードに口説かれて――でも、自制してくれた彼に、わたしはわりと好感を持っていた。信頼感とも言えるかしら。
 わたし、ちょろい? 自覚はちょっとあるけど。

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