【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
 えっ、ヤ、ヤンデレ? セドリックってヤンデレ属性があったの?

 そういえば……。
 普段は忘れているけれど、ここは乙女ゲームの世界。しかも、セドリックは攻略対象者のひとり。
 まだ表面に出ていない属性の一つや二つ、あるかもしれない……。

 背筋がゾクッとした。でも、それは恐れというより、期待に近い感覚で。

 もしかしたら、悪役令嬢のポテンシャル?

 わたしには細かいゲームの記憶がないからわからないけれど、悪役令嬢のヤンデレエンドとかあったのかしら。それも、セドリックなら……と、ときめきはじめる。

 わたし、どこまで行っちゃうの!?

「でも、どうしても外に出さなければならないのなら、僕の目の届くところにいてほしい。だから、王立高等学園の理事長に推薦したんだよ」

 セドリックが天使のようににっこりと微笑んだ。

「これが一番よい選択肢だとは思ったんだけどね。いざとなると、心配でしょうがないんだ。改めて約束してね」

「……はい」

「男を信じちゃだめだよ。あなたは魅力的なんだから。お願いだから、自覚して? 清らかで誇り高い『紫水晶の君』」

「え?」

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