スペシャル企画 儚く甘い 番外編追加しました
「どうしたの?先生?」
彼女の心は今麻痺しているのかもしれない。
自分の状態を、彼女は全くわかっていない。

すぐに眠りに落ちてしまうのも、成長期かなと言って笑う彼女は、その笑顔もぎこちなくて、心とは裏腹に明るく振舞うことが自分の心を余計に痛めつけていることに気づいていない。

「何でもない。」
俺は冷静を装って彼女の隣に立つ。

「今日はすごくきれいな青空。」
「あぁ。」
「今日の空はきれいな紺碧色だから。」
言葉を飲み込んだ藤田に俺の心がちくりと痛む。

「急に授業さぼんなよ」
「先生に言われたくない。」
確かに。俺のほうがしょっちゅうここで授業をサボってる。
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