スペシャル企画 儚く甘い 番外編追加しました
悔しさの分、私は一歩の歩幅を広げて、無理やり前に進もうとする。
とまったらだめだ。

こんなにもできない自分。
大切なものは限られているのに、大切にできない自分。

自分へのいら立ちの分、ヒールのかかとを鳴らして歩き始める。

「京香」
その声に私は急ブレーキをかけて足をとめる。
「うわっ!」
バランスを崩して派手に転ぶ私。

「ごめんっ!俺が急に声かけたから!」
慌てて私の方へ駆け寄ってきたのはほかの誰でもない。
私が今、一分でも一秒でも早く会いたい人。

海璃だ。
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