悪役令嬢の復讐マリアージュ
チラチラ2
とりあえず、明日から休みでよかったと。
ネクタイ結びで、顔を合わせる事がなくてよかったと。
その間に、何が何でもクールダウンしなきゃと思った。

そのために、楓くんと鉢合わせないようにしながら。
家政婦と一緒に大掃除に(いそ)しんで、気を紛らわしていた。

そんな中、楓くんからもまったく音沙汰がなくて……
助かる反面。
スッキリしたから、もう用無しなのかと。
わかっていながらも切なくなっていた。


そうしてるうちに、あっという間に年が明け。
とうとう、楓くんと顔を合わせなきゃいけない場面が訪れる。
親族や仕事の関係者・お世話になってる人達のところへ、挨拶回りに行かなければならなかったのだ。

そのスケジュールは、早いうちから伝えてたものの。
楓くんの売り込みという、重大なミッションも兼ねてるし。
一応前日に、確認の声かけをすべきなんだろうけど……
意識して緊張して、胸が破裂しそうで!
その部屋を訪れる勇気が、どうしても出て来ない。 

仕方なくLINEで、新年の挨拶と確認を済ますも。
その文章や送信するのにも、時間を要した始末で……
あああ!こんな調子で、明日普通に接する事が出来るのっ?

とはいえ。
いざその場を迎えると、腹が据わるもので……
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