悪役令嬢の復讐マリアージュ
「お嬢様、お節は作られましたか?」

「はいっ!?
作れるわけないでしょおっ?」
何言い出すの急に!
ひどい重松っ、料理苦手なの知ってるくせに〜。

「そんな事はないでしょう〜。
毎日楓様のために、一生懸命お弁当を作られてるのですから。
お節のスキルも、充分備わってるかと思いますよ?」

「ちょっ、重松!」
なんって事言うのっ!?
悪役なの知ってるくせに〜。

「楓様も、そう思われませんか?
お嬢様の料理の腕、ずいぶんと上がったでしょう」

ぎゃああ!楓くんにまで振らないでっ。
しかもそんな誇らしげに言われるほど、ぜんっぜん上達してないから〜。

「ですね。
すっかり胃袋掴まれてます」

あああ!社交辞令だとわかってても嬉しいっ。

「おお!それはそれは、夫婦円満ですなぁ」

いや円満なわけないし!もうこの話題やめて〜。

「とにかく!
作れたとしても、そんな夫婦仲アピールにならないもの、わざわざ作るわけないでしょう?
周りに披露しないなら、作った事にすればいいだけだし」

途端。
「えっ?」とこっちに顔を向けた楓くんが視界に映り。
えっ?と私も、条件反射でそっちを見てしまい。
バチっと目が合う。
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