悪役令嬢の復讐マリアージュ
ぎゃあぎゃあ


叔父のバックアップを受け、人事異動の手筈が整った私は……
自室のリビングに楓くんを呼び出した。

「さっそく本題に入るけど。
来週の7月1日から、あなたには製造・品質部に異動してもらうわ」

「はっ?
それも、社長になるのに必要なわけ?」

「そうよ。
権力を握ってるのは株主や幹部でも、会社を動かしてるのは従業員よ。
その支持を得られなければ、株主たちの評価も得られない。
だからあなたには、全ての部署を回ってそれぞれの支持を集めてもらうわ」

「どうやって……
だいたい先代の社長だって、従業員に慕われてたとは思えないけど」

「父は自分が持株率60%の実質的支配者だったから、問題なかったのよ。
それに専務の叔父が、その役目を果たしてたし。
でもあなたの場合、その従業員から慕われてきた専務もライバルになるのよ?」

叔父は持株率10%の主要株主でしかないけど。
今回の選任結果のように、ほとんどの株主が叔父を選んだ場合。
私と琉司は持株率30%だから、40%の票を集めた叔父が再任する事になるだろう。

「だったら逆に、付け焼き刃の支持じゃ勝てっこないだろ。
違う土俵で評価を集めた方が、効率いいと思うけど」
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