悪役令嬢の復讐マリアージュ
そしてそれらを4ヵ月スパンの、トータル1年で成し遂げてもらう。

「簡単に言うね。
最初と最後はともかく。
エンジニアの俺がそんな短期間で上位に入れるって、本気で思ってる?
だとしたら営業をバカにしてるよ」

「してないわ。
無理難題なのは百も承知よ。
ただ実際、営業未経験者が3ヵ月で売上トップになった実例はたくさんある。
そして私は、あなたならこの難題をクリア出来ると思ってるわ」

楓くんは「どんな根拠」と苦笑う。

「根拠は、あなたが天才だからよ」

「技術で結果を残せたからって、営業じゃ通用しないよ」

「どんな分野だろうと関係ないわ。
天才とは1%のひらめきと99%の努力、っていう名言通り。
あれほどの結果を残すには、血の滲むような努力をしてきたはずよ?」
ずっと楓くんを見てきたからこそ、そう思う。

「あなたは目的のためなら、どんな努力もいとわない人間だと思ってる。
だからよ」
自信たっぷりに告げると。

僅かな動揺を見せたあと、溜息混じりに観念したような笑みを浮かべる楓くん。

「わかった、やってみるよ。
自信はないけど」
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