ときめきの香りは貴方ですか?
「えっ!いつも眉間にしわ寄ってるんですか?」
私は眉間に手を当てて、眉間を伸ばしていた。
「ははっ、大丈夫だよ。一生懸命してくれていて、僕は嬉しいよ。そろそろ、他の仕事もお願いしようと思ってるから、2人の外出も増えるし、制作部との外出も出てくると思うから、宜しくね」
「はいっ、少しでも永富さんの負担を無くせるように頑張ります」

永富さんは、優しく微笑んで、
「・・・ねぇ風谷さん、僕と仁美の話、聞いた?」
「許嫁ってことですか?」
「・・・そう、聞いたんだね」
永富さんはしばらく黙っていた。

「僕の負担を軽くしてくれるなんて、上司冥利につきる言葉だね。半年前なら、返事返すだけだったのに、嬉しいことも言ってくれるようになったね」
永富さんは仁美さんの話題には触れず、私を褒めてくれた。
「はい、永富さんや久木さんの指導のおかげです。それと2人の同期のおかげもあるんです。」

「君達を見ていると、改めて気持ちが引き締まるよ・・・」
ふと永富さんを見ると、前を向いているけど、もっと遠くを見てるようだった。

「ごめんね。急に連れ出して。そろそろ戻ろうか」
20分ほど、車を走らせて私達は会社へと戻って行った。

会社に戻り、制作部の前を2人で通りかかると、
「永富さん」
城崎さんが永富さんを呼び止めたので、私は頭を下げて、総務部へ戻って行った。
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