ときめきの香りは貴方ですか?
【ときめきの香りはあなたですか】
「この間はお疲れ様」
制作部の前を通ると、城崎さんに会った。

「お疲れ様です。歓迎会ありがとうございました。あれから、遅くなったんですか?」
「まぁ、たまにはね。そうだ、明日一緒に行って欲しいところがあるんだ。永富さんには俺から言っとくから。仕事は大丈夫?」
「はいっ、特に急ぎはないので大丈夫です」
「じゃあ、詳細は後で知らせるね。バスで行くんだけど、俺は別件で行くところがあって途中で乗るから」
「はい。宜しくお願いします」

私はできるだけ、仕事を前倒しして、明日に備えた。

「何だか嬉しそうだね」
永富さんに声を掛けられて、自分が浮かれていることに気がついた。
「いえ、特に・・・仕事が捗ったので・・・」
「そう、じゃあ、明日午後から一緒に大学訪問に出かけようか」
「明日午後ですか・・・」

どうしよう、まだ城崎さん、永富さんに言ってないんだ。

「なんてね、明日午後から城崎と外出する許可は出したよ。行っておいで」
「永富さん・・・」
「風谷さん、困った顔してたね」
う~、永富さんにまでからかわれた。

でも、永富さん、目が笑ってない。
何だろう、寂しさが流れこんでくる。
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