ときめきの香りは貴方ですか?
【それぞれ違う愛の深さ】
「城崎さん、今日の打ち合わせの内容、ホテルの会場で婚約パーティーですか?」
「・・・あぁ、依頼者とは現地で待ち合わせだよ」

城崎さんは悲しそうな声でそう言うと、厳しい表情で前を向いていた。

現地に着くと、そこに居たのは永富さんと仁美さん、そして社長ともう1人は・・・
「仁美さんのお父さんだ」
城崎さんが、私に耳打ちする。

私達が来たのに気づいた永富さんが近づいてきた。

「風谷さん、バスで出会った人に会えたようだね」
そう言いながら、城崎さんを見て微笑んだ。
「は、はい」
私は体中がほてってしまい、永富さんの顔が見れなかった。

「・・・風谷さん、今日はありがとう。2人で少し話がしたいんだ」

永富さんは、確認するように城崎さんの顔を見ると、城崎さんが静かに頷いた。

永富さんは私を控え室に案内して椅子に座らせた後、隣に座った。

「急でごめんね。実は明日、仁美と正式に婚約発表をすることになったんだ」
許嫁と聞いてたからびっくりはしなかったけど、突然で少し寂しく感じた。

「色々あってね、急ぐことになったんだ。これから仁美の会社のこととかで忙しくなって、外出が多くなると思う。それでも、何かあれば直ぐに飛んで行くから。これからも久木さんと一緒に支えてくれるかなぁ?」
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