ときめきの香りは貴方ですか?
全てが終わり、城崎さんと2人で、永富さんと仁美さんに挨拶に行った。

「永富さん、俺、自分の車なんで、風谷さん送って帰りますね」
「あぁ、色々とありがとう。風谷さんも」
「永富さん、仁美さん、失礼します」
私は2人に頭を下げて、城崎さんと会場を後にした。

2人で駐車場に向かっていると
「明日休みだし、このままホテルに2人で泊まっていく?」
突然の言葉にパニックになった。
「な、な、な、何言ってるんですか」
私は思わず声が裏返ってしまった。

「別に変な意味で言ってないよ。別々の部屋だし。もしかして、何か想像した?」
「あっ、いえ、そ、そのぉ~・・・」
勘違いして、私は恥ずかしさで体中が熱くなった。

「ははっ、いやー、ほんと風谷さんて可愛い。帰ろっか」
城崎さんと一緒にいると心臓がもたない・・・

すっかり外は暗くなっていた。

「家の近くまで送るよ」
城崎さんの車に乗ると、あの香水の香りがする。いい香りだ。

「香水、会社じゃなかったら、永富さんも文句ないでしょ」
「そうですね・・・私、ずっとこの香りの中にいたいです」
「それ、どういう意味かわかってんの?」
「どういうことですか?」
「・・・いいよ、もう」

「城崎さんが香水をつけなくなったのはわかったんですけど、腕時計は何故ですか?飽きちゃったんですか?」

城崎さんは、ちらっと腕時計を見て、
「これね、親父が成人式にくれた腕時計でね。風谷さんと出会った頃はずっとつけてたけど、故障したから修理したんだよ。修理から戻ってきてから、また壊れると嫌だったから、大切な日だけ付けるようにしたんだよ」

「大切な時計なんですね」
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