ときめきの香りは貴方ですか?
「まぁ、厳格な人で、俺言うこと聞かなかったから、けんかして出てきたからね」
そうなんだ。

私は両親とけんかすることなかったから。寂しくないのかな・・・

夜、車で走ると暗がりの中、街の明かりが通り過ぎ、城崎さんが音楽をかけてくれてるので、心地いい。

デートってこんな感じかな・・・

ここの席には、今までどんな女性が座っていたんだろう。
今日の神田さんとのことが脳裏によぎる。

「あの・・・神田さんとは今はお仕事されてないんですか?」
「あぁ、前は仕事する機会もあったけど、神田さん、部署が変わってから会う機会がなかったなぁ」
「そうなんですか・・・」
「何?気になる?」
「仲良さそうだなぁって思って・・・」
「まぁ仲悪くはないだろうね」
「・・・」
「ねぇ、拗ねてるの?」
「そ、そんなわけないじゃないですか」
「ふ~ん」
そう、そんなことない。

見慣れた風景が見えてきた。

「城崎さん、そこの先で止めてもらったら、大丈夫です」

家の近くの道路脇に車を止めてもらって、シートベルトを外した。

少し寂しさを感じたけど、また会社で会える。

「送っていただいてありがとうございました。では、また月曜日に。お疲れ様です」

少し頭を下げて、ドアを開けようとした時、腕を掴まれ、体を引き寄せられた。

「少しだけ、このままでいさせて」
強く抱きしめられて、感じる城崎さんのぬくもり。
「城崎さん・・・」
< 47 / 83 >

この作品をシェア

pagetop