ときめきの香りは貴方ですか?
マンションの前でタクシーを降りると私の足は重くなる。

先に私が中に入り、優也さんが後から入った。

「上がって」
私が靴を脱ぎ、優也さんも靴を脱いだ時、優也さんが後ろから抱きついた。

「俺、もう我慢できない。愛里を毎日抱きしめられないなんて無理だ」

優也さんは私の首筋に口づけをすると、私を抱えてベットまで連れていった。

「愛里、取りあえず抱かせて」

優也さんの余裕のない気持ちが全身に伝わる。
この間とは違って、息が乱れて苦しくなるくらい、私は激しく、時間をかけて愛された。
愛された後もずっと体を撫でられ、その度に体の芯が熱くなるほど、幸せの余韻が残っていた。

「ごめんね・・・俺、5日も待てなかった」

シャワーを浴びた後、ソファに座り、優也さんが話しだした。

「月曜日、会社で愛里を見た時、その場で抱きしめたくなった。愛里が他の男としゃべってると嫉妬するし、なるべく、愛里の顔を見ないようにと思ってたよ。でも、今日中間さんと話してるの見て、限界だった。たった5日も我慢できない。俺は愛里がいる喜びを知ってしまったから」

私の髪の先を触りながら
「今日、定時で帰って、愛里のお父さんとお母さんにお願いしに行ったんだ。同棲させて欲しいって。自分の気持ちを正直に言ったよ。もう愛里無しでは無理ですって」

私の実家に行くために、定時で帰ったんだ。
「自分でも無謀だと思ったよ。でも、殴られても罵られても伝えたかった」

お父さんとお母さんのびっくりした顔が浮かぶ・・・
でも、あの2人なら・・・
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