血と雪とヴァンピール
今日は、毎朝7時と昼の12時に鳴る教会の鐘が鳴らなかったのかな?
「そんなわけないでしょ。鐘がなっても起きなかったのよ。」
「えーだって寒いもん。ベッドから出られないよ。」
「そんなんじゃ、冬眠中の熊みたいに太るわよ。」
グッ…人が気にしていることを…。
その時。ビュンっと冷たい風が窓をノックした。
窓の透明なガラスについた霜が杞憂を誘うように薄くなって。
窓の外の景色を促す。
少し寒気がそっと頬を撫でるように感じた。
「ねえ、スノウ。」
ママは窓に近づき外をのぞく。
外は雪景色。また再び雪が落ちて積もる早さが増しているように感じたようで、ママは心配そうな顔に変わって、
「あの子にマフラーを届けて頂戴。」
って言った。
いつもならめんどくさいが勝つところだけど、さっきのママのからかいのせいで、冬休みの間全く外にでていない私は外にでることにした。ていうか私もマフラー欲しいな…
「私にもマフラー作ってよ。」
「戻ってくる頃にはできているわよ。」
白と赤の色がいいな。とわたしが要望するとママはわかったわと答えた。
マフラーとグローブといった簡単な防寒服を着けて
私は家と外を隔てるドアに手をかける。
何しげに時計を見ると長針と短針が分かれ始めていた。
もう時間は戻らない。どこかでなった銃声は私の家の窓を叩くことしかできなかったのだった。
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002
白銀の銀世界という言葉があるけど、
曇り空のせいで、どんよりとした灰色を身に宿したそれは
とてもとてもきれいと呼べるものではなかった。
ていうかきれいがどうのっていうより…
「寒!」
寒すぎるよ!あいつマジで凍え死んでんじゃないの!
山にある家からは道という道は雪に埋もれてなくなっている。
では、何を頼りにするか。勘である。自慢ではないが
私の勘はだいたい当たる。例えば、今日はシチューが食べたいなぁと思ったら、献立がそうだったりしたりする。
私は一歩一歩グシッグシッと歩くたびに雪の結晶が砕ける。
そのうち消えていくであろう足跡が私の後を追う。
もちろん。クラウドの足跡はもうない。
どこに行ったのか。いや、見つけるの無理くない?
あきらめよう。あいつはいいやつだったよ。
「まあ放っておいてもいつもみたいに帰ってくるでしょ。」
諦めて、帰ろうとして。振り返って。
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