血と雪とヴァンピール
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001
雪の結晶がゆっくりと。ひらりと落ちる。
雲からはがれた鉱床が重なっていく。
窓の外には雪が積もっていて。
暖炉の温かみをありがたがるような日だった。
私は‘‘お行儀よく‘‘ギコギコと揺れるイスに凭れていた。
「スノウ。お行儀が悪いわよ」
ママは私に小言を言うと、フー…と息をつく。
ママは怒らせると怖い。大きい声で怒鳴るなんてことはしないけど
氷のナイフで刺すような目は昔から私をしつける上でもっとも効果的なことを
本人も知っているようだ。
今度こそ、お行儀よくイスを揺らすのをやめる。
だけど、嘆息かと思ったそれは、違うことはすぐにわかった。
「できた。」
その声が聞こえるとそれまでの冷たい表情が一変。
にこっとした表情をして、両手に広がった織物を眺めていた。
さっきから手をまごまごさせてるなぁとは思ったけど
どうやらなにか完成したらしいそれで、一息ついたわけだったのだ。
「なにそれ?」
実を言うと対して興味もないんだけど、
一応、ママのご機嫌どりもかねて聞いてみる。
すると、ママはにこっとしたまま自信に満ちた顔で聞いた。
「何かわかる?」
にこにことしているママ。
ここで、変なこといったら…。
この回答で私の人生が変わるかもしれない…。
それぐらい大事だよここ。外せないよ。
色は青と白。海と空を分けたようなボーダー。
夏の空の色合いは今の真冬の季節には恋しくなる。
畳んでいる織物厚みが入道雲のようにふわふわとしていた。
「これはマフラー?」
ママはピンポーンと言わんばかりの表情で
「正解!」
といった。完成度に満足したらしい。
でも、
「でも、あいつには大きすぎるんじゃない?」
「成長期だし、いいのよ。」
あいつというのは私の3つ年の離れた弟のことで、
今は私と同じ冬休み中で毎日のように外に出ては遊んでいる。
そういえば、あいつ今朝から見てないな。
「クラウドは?」
「遊びに出かけたわよ。」
えーこんな寒い日に出ていくの?
あいつは相変わらずバカだな。
こんな日に外にでたら風邪引いちゃうよ。
「昼が過ぎて、おきて、ボッーとイスをギコギコしてるあんたとどっちがいいのかしらね。」
リビングに掛けてある時計を見たら短針が14時を
長針が10分をさして、仲良く並んでいる。
私そんな爆睡してたのか。
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