✾~クールな天才脳外科医と甘~い極上の結婚を~✾
「それに誤解。海水で浄化したい気分だったの。水面に浮かんで」


すると朝陽君は、私をスッと抱き上げ水面に横たわらせてくれた。


「……どう見ても入水自殺する悲壮感MAXの女にしか見えなかったぜ」


彼は、右上方で呆れたように笑いながら安堵の息を吐いた。


「ははっ、そんなヤワじゃないわ。……女の幸せフルコースの野望達成するまでは死んでも死にきれない」


私は、月光に包まれゆらゆらと海に癒されながら、見下ろす澄んだ瞳の光の奥に吸い込まれそうな気がしてふと瞳を閉じた。


「三十路直前の女の執念感じるな。お前が、繊細でなくて良かったよ」


「……だから安心して。……気持ちいい」


このまま穏やかに溟海へと流れ去り、新たな未来へと旅立てたらいいのに……。


「ま、腹括って楽園に出向いたのに白馬の王子に無惨にフラれた三十路女を超不憫に思った神の秘技で生まれ変わり、新たな光輝く女の幸せフルコース三昧の未来を手にするって事にしとけ」


彼は、そう言いながらグレージュ色のふんわり揺れる緩い巻き髪ミディアムヘア……といってもびしょ濡れで台無しになった唇に掛かる髪を優しく取ってくれた。
< 23 / 54 >

この作品をシェア

pagetop