水鏡
 ……女の子は完全に『水原美華』になっていた。

「はい、これで問題なし。貴女の願いは私が今までの貴女を演じながら、徐々に叶えているように見せるから」

 声音も私ソックリになった女の子は落ちていた鞄を拾って、林の方へ歩き出した。

「や、やだ! 置いて行かないで‼︎ 助けて‼︎」

 私は大声叫んで女の子を呼び止める。女の子はその場でピタリと止まると、首だけ後ろを振り向き不気味な笑みを浮かべる。

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