甘い毒に溺れ堕ちて
洗い物中の父に呼びかけ、作業台の上にノートを置いた。

自室に戻ってパーカーを羽織り、スマホと折りたたみ財布を持って玄関へ。

ほの暗い住宅街を歩いて、近所のコンビニまで足を運ぶ。


みんなには、家族サービスに巻き込まれて連休を全て潰された憐れな息子と思われてしまったけれど。

決して大掃除だけしか予定がないというわけでもない。



「おーい」



すると、コンビニの入口付近に立つ細長い体躯の男性が手を振ってきた。

そのすぐ隣には、お店のライトに照らされて艷やかに光る、黒いスポーツカーが1台。


自分も大きく手を振り返し、小走りで彼の元に駆け寄る。



「藍くん、こんばんは」

「こんばんは。ごめんなさい、遅れちゃった」

「いいよ全然。俺らもさっき来たばっかだし」



真っ白い歯を見せて笑い、タバコを灰皿に押しつけた凌介さん。

車体に目を移すと、後部座席の窓が開いて、パープルヘアの男性が現れた。



「藍、やっほー」

彼方(かなた)さん。お久しぶりです」

「らんらん! 久しぶり! 元気だったか?」

「はい。おかげさまで。今日は4人ですか?」

「おう! 久々のフルメンバーだ!」
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