甘い毒に溺れ堕ちて
窓から身を乗り出す勢いで彼方さんを押しのけ、グッドポーズをした徹平(てっぺい)さん。


前回会ったのは3ヶ月前。

2人ともダウンジャケットから薄手のシャツに衣替えしていて、徹平さんに至っては茶髪からオレンジ髪に変わっている。



「さ、来いよ! 時間なくなるぞ!」

凌介(りょうすけ)さんも。早く出発しましょう」

「はいはい。今行くって」



急かされるがまま助手席に乗り込んだ。

背もたれに上半身を預けた瞬間、甘ったるい香りとヤニ臭いにおいが舞い、鼻をツンと強く突き刺す。



「さて、今夜のご希望は?」

「はーい! 俺カラオケー!」

「お前に聞いてねーんだよ。藍はどっか行きたいところある?」

「ゲーセン、いいですか? 先週から新しい景品が追加されてるらしくて」

「ゲーセンね。いいよ。2人は?」

「「オーケーでーす」」



声をハモらせ、頭の上で丸を作った彼ら。

凌介さんがエンジンをかける間に、シートベルトを装着する。



「では、これから出発します。連休中ですが、時間厳守、節度を守って楽しみましょう!」

「「「はーい!」」」



車内に響く大音量のポップミュージックに負けないよう、声を揃えて返答。

車が動き出し、俺ら一行はゲームセンターへと向かった。
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