甘い毒に溺れ堕ちて
早口でしゃべりながら、共感しては落ち込んでを繰り返している。

彼方さんによると、私と砥上さんの笑い声が上がるたびにチラチラと盗み見していたとのこと。

会計の後、こっそり耳打ちで教えてもらった内緒の話。



「真彩ちゃんの可愛さがどんどん世間に見つかっていく……」

「大げさな。紅一点だったから気を遣ってくれただけだと思うよ?」

「甘いね真彩ちゃんは。男はね、狙った獲物は逃がさない、好きになったら一直線なんだよ」

「そうなの……?」

「そうなの。昔からの狩猟本能が備わってるの。どうしよう、夜の世界にスカウトされちゃったら。手が届かない存在になったら俺生きていけないかもしんない」

「……」



口を挟むのをやめても、藍くんのお口は止まらず。


あぁ、また始まった。

今回は意中の人の存在をモテモテの先輩に知られて、最終的にかっ攫われてしまった悲劇の失恋物語かな? 


仮にスカウトされて踏み入れたとしてもそんなに人気出ないだろうから心配しなくても……って、これも言ったら『また自分の可愛さ低く見積もってる!』って怒られるんだろうな。


彼の気が済むまでと放置させていると、今度は「あーあ」と残念がる声が上がった。



「デート権、終わっちゃったな。めちゃめちゃ楽しかったけど、あっという間すぎた。1日コースにしとくべきだったかなぁ……」

「……良かったら、また遊ぶ?」

「いいの!? よっしゃ! 嬉しい〜!」



空気を呼んで誘ってみたら……喜びすぎじゃない?

あなたがねだれば私は否応なしに従わざるを得ないんだから。言い換えればデートし放題なのに。


別れ道に着くまで、藍くんは次の行き先決めでテンションが上がりっぱなしだった。
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