甘い毒に溺れ堕ちて
ねだられたのがよほど気に食わなかったのだろうか。私の声に被せる勢いであしらわれた。

言われた通りに、ダイニングテーブルの隅にファイルごと置く。


幼稚園児時代から13年。プリント類はその日に渡すよう心がけているけれど、まだ1度も直接受け取ってもらえたことがない。


忙しいのは昔から。時間がないのも知ってる。

恐らく今回も、仕事があるからと不参加に丸を付ける。

小学生の頃からずっとそうだから、今更手を止めるほどのことでもないよね。


けどさ……目くらい合わせてもいいじゃない。


はぁ、と小さく溜め息をつき、スクールバッグを肩にかける。

自分の部屋に戻ろうと振り向くと、すぐ後ろで晴日と晴月がそわそわした様子で私を見上げていた。

一旦バッグをテーブルに置き、しゃがみ込んで目線を合わせる。



「どうしたの?」

「あのねあのね、はづ、きょうね、おかねのおべんきょーしたんだよ!」

「むかしはね、500えんさつがあったんだって!」

「500円札!? あの丸いキラキラのお金じゃなくて?」

「「うん!」」
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