甘い毒に溺れ堕ちて
「確かばあちゃんかお母さんだったかな。デザイン? アート系? の仕事やってるらしくて。授業参観の時に何回か見かけたけど、一目で藍ファミリーだ! ってわかるくらいオシャレでさ」

「その、レベチの服は……一体どんなだったの?」



彼の美的センスは家族譲りだったのか。と、腑に落ちたところで本題に入る。



「小5の時は、ジャケットのセットアップ。演奏会だったからさ。色は暗めの紺色で、柄は……なんて言うのかな、上下ともミトコンドリアみたいな柄で……」

「あぁ〜。なんか、勾玉みたいな形だっけ?」

「そうそうそう。で、小6の時は劇で……あー、ダメだ。名前が出てこねぇ」



眉間にシワを寄せて必死に思い出している。

衣装は思い浮かんでいても、素材や柄の名前が出てこないともどかしいよね。



「どんな役だったかは覚えてる?」

「闇堕ちした王子様の役。全身黒で、上がジャケット、下がガウチョパンツなんだけど……生地がスケスケのやつで」

「えええ!? 最近流行ってる、シアーシャツみたいな感じ?」

「……に、似てるやつ。なんだったっけなぁ」

「チュールだよ」

「そうだ! チュールだチュール! 思い出した〜……って、え?」
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